2枚の似通ったシートを、行ごとに比較します。両方の値を比較して全く同じ行があればその行を青色、なければ赤色に色付けするマクロを紹介します。
マクロで達成したいこと(2つのエクセルシートの行単位での比較)
2つの似通ったリストがあります。
このシートにはいずれも全24行あります。このうち20行は両方のシートで共通ですが、4行だけ左右で異なる項目が入力されています。これをマクロを使って一瞬で色分けします。
※今回示した二つのシートでは、オートフィルターがかかっていますが、フィルターがあってもなくても動作するよう、作成しています。
エクセル(Excel)シート比較マクロの作り方 (全体のフロー)
マクロの動作フローについては次に示す通りです。
②①の行列数を使って、各値を格納する為の配列(二次元配列)を生成する。
③②で作った配列へ、各シートの値を格納する。
④他方のシートに同じ行があるかを、配列を利用して確認する。
⑤片方のシートのある行が、他方のシートにあれば、その行を青色に色付け。
⑥他方のシートに同じ行がなければ、その行を赤色に色付け。
これ以降は、このフローに沿ったマクロのコードを紹介していきます。
①各シートで使用されている行数、列数を取得(フィルター後の行数、列数の取得)。
Dim RowNum1 As Long
Dim RowNum2 As Long
Dim ColumnNum1 As Long
Dim ColumnNum2 As Long
Dim sht1 As Worksheet: Set sht1 = ThisWorkbook.Sheets("比較1")
Dim sht2 As Worksheet: Set sht2 = ThisWorkbook.Sheets("比較2")
'今回は比較するための二つのシート名を「比較1」、「比較2」としました。
'//比較1,2シートの行数を取得する(フィルター後)。
RowNum1 = sht1.UsedRange.Columns(1).SpecialCells(xlCellTypeVisible).Count
RowNum2 = sht2.UsedRange.Columns(1).SpecialCells(xlCellTypeVisible).Count
'//比較1,2シートの列数を取得する。
ColumnNum1 = WorksheetFunction.Subtotal(3, sht1.Range("A1").CurrentRegion.Rows(1))
ColumnNum2 = WorksheetFunction.Subtotal(3, sht2.Range("A1").CurrentRegion.Rows(1))
フィルター後の行数を取ってくるには、
.UsedRange.Columns(1).SpecialCells(xlCellTypeVisible).Count
の書き方が便利です。今見えている分の行数をカウントしてくれます。
②①の行列数を使って、各値を格納する為の配列(二次元配列)を生成する。
Dim ar1() As String '比較1シートの要素格納用の配列
Dim ar2() As String '比較2シートの要素格納用の配列
'//シートの行数に応じて、配列のサイズを決定する。
'二次元目の大きさは、要素を格納しているシートの列数 + flag分
ReDim ar1(RowNum1 - 1, ColumnNum1 + 1)
ReDim ar2(RowNum2 - 1, ColumnNum2 + 1)
配列を扱う理由は、比較を行う際にVBA上の配列で処理した方が扱いやすいためです。
配列の大きさは上に示すように行列の配列と少し異なります。
行が減るのは項目行の分が減少するためですが、列は増やしています。
増えた2列は以下の内容の列です。
・フィルター後の行番号を格納するための1列分。
・他方のシートに同じ行数が存在するかどうかの目印(Flag)とする列を1つ使用する(ここがポイントです)。
③②で作った配列へ、各シートの値を格納する。
まず、二次元目の値が0の要素には、フィルター後の行数を入れます。
ここで、フィルター後の行番号を取ってくる関数を示します。
Function House_RowNum(sht As Worksheet, RowNum As Long) As String()
Dim ar1() As String
ReDim ar1(RowNum - 1)
'//配列ar1(〇、0):行番号を格納
'//(オートフィルター後の行番号を格納する。)
r = 2
i = 0
Do While sht.Cells(r, 2) <> "" 'フィルターをかけているB列の値の有無で最終行を判別。B列が空の行になるまでループを回し続ける。
If sht.Cells(r, 2).EntireRow.Hidden = False Then
ar1(i) = r
i = i + 1
End If
r = r + 1
Loop
'//配列ar1(〇、0):行番号を格納完了
House_RowNum = ar1
End Function
この関数を利用して、以下のように二次元配列へ格納してゆきました。
Dim ar3() As String '比較1シートの行番号格納用の配列
Dim ar4() As String '比較2シートの行番号格納用の配列
'行番号の格納
ar3() = House_RowNum(sht1, RowNum1)
ar4() = House_RowNum(sht2, RowNum2)
'行番号の格納完了
'格納した行番号を二次元配列へ格納し直す。
For i = 0 To UBound(ar3)
ar1(i, 0) = ar3(i)
Next i
For i = 0 To UBound(ar4)
ar2(i, 0) = ar4(i)
Next i
'格納した行番号を二次元配列へ格納し直す(完了)。
各行のセルの値(要素の値)を二次元配列に格納していきます。
flag列を入れます。
コードは次のようになります。
'//配列ar1へセルの要素を格納
With sht1
For i = 0 To UBound(ar1) - 1
k = 1
For j = 1 To ColumnNum1
ar1(i, k) = .Cells(ar1(i, 0), j) 'ar1(i,0)はフィルター後の行番号が入っている配列
k = k + 1
Next j
ar1(i, ColumnNum1 + 1) = 1 ’Flagの値に1を入れています。
Next i
End With
'//配列ar1へセルの要素を格納(完了)
flagのデフォルトは1にしておきます(0か1、どちらでもよいです、但しこれ以降も反対にしてください)。
④他方のシートに同じ行があるか、複数セルの値を比較する。
配列を利用した間違い行探しで、動的配列にも対応させたコードは次のようになります。
同じ項目があればkというカウンターの数値を1ずつあげていき、全列数と一致すれば、その行は他方シートにも存在するという考え方で組みました。
'2つの配列が完全一致するかどうかをチェックする。
'あれば最終列のFlag値を1にする。
For l = 0 To UBound(ar1, 1)
For j = LBound(ar2, 1) To UBound(ar2, 1) - 1
k = 0
For i = LBound(ar2, 2) + 1 To UBound(ar2, 2) - 1
If ar1(l, i) = ar2(j, i) Then
k = k + 1 '調べた列数とkが一致すれば、2つの配列は完全一致している。
End If
Next i
If k = UBound(ar2, 2) - 1 - LBound(ar2, 2) Then
' MsgBox ("ar1とar2は完全一致しました。")
ar1(l, UBound(ar1, 2)) = 0
ar2(j, UBound(ar2, 2)) = 0
End If
Next j
Next l
'//ar1の各行(j)について、同じ要素のものがar2にないかチェック(完了)
⑤片方のシートのある行が、他方のシートにあれば、その行を青色に色付け。
With sht1
For j = 0 To UBound(ar1) - 1
If ar1(j, UBound(ar1, 2)) = 1 Then
.Range(.Cells(ar1(j, 0), 1), .Cells(ar1(j, 0), ColumnNum1)).Interior.Color = RGB(30, 144, 255)
Else
.Range(.Cells(ar1(j, 0), 1), .Cells(ar1(j, 0), ColumnNum1)).Interior.Color = RGB(255, 0, 0)
End If
Next j
End With
⑥同じ行がなければ、その行を赤色に色付けする。
With sht2
For j = 0 To UBound(ar2) - 1
If ar2(j, UBound(ar2, 2)) = 1 Then
.Range(.Cells(ar2(j, 0), 1), .Cells(ar2(j, 0), ColumnNum1)).Interior.Color = RGB(30, 144, 255)
Else
.Range(.Cells(ar2(j, 0), 1), .Cells(ar2(j, 0), ColumnNum1)).Interior.Color = RGB(255, 0, 0)
End If
Next j
End With
⑤⑥はいずれもflagの値を見て色付けするしないを決定しています。
まとめ マクロファイルダウンロード
以上、エクセルで間違い行を一瞬で探すマクロファイルについて説明しました。
結果は次のようになります。一目でどこが間違った行かが一目瞭然です。
ファイルダウンロードは下の項目から可能です。
間違い行探しマクロ
参考:以下のようなマクロも作成しています。
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